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ドライアイ
「ドライアイ」という「病気」
涙液の減少・変化によって、目の表面である角膜(黒目)や結膜(白目)の健康が損なわれる状態を「ドライアイ」といいます。英語を直訳すれば「乾き目」ですが、その病態はさまざまでとても複雑です。涙の産生が減って涙が不足する、涙の蒸発が増えて目が乾く、涙の広がりが不安定になるなどで、角膜や結膜の表面が肌荒れのような状態となります。乾燥間だけではなく目の不快感、疲れなどの症状があらわれます。また、その痛みや刺激によって涙がポロポロとたくさん出てしまう「ウエットタイプのドライアイ」といった一般的には矛盾した状況もあります。 

自覚症状
「眼が乾く」と感じる人は意外に少なく、はじめは、なんとなく目に違和感がある、目が疲れる、というような自覚症状が不定期におきはじめます。目の表面がゴロゴロする、目の奥が重い、目がショボショボする、目玉やまぶたが熱を持ったような感じ、目を開けるのがつらい、目がしみる、ヒリヒリする、などのほか、目の充血、白っぽい目やにが少量出る、朝起きてすぐだけ目が開けにくい、午後になると目がかすむ、視力はいいのになんとなく見づらい、など、さまざまな症状がでます。悪化してくると、目の表面が痛い、目が開けていられない、などから、頭が痛い、頭が重い、肩が凝る、気分が悪いなど、いわゆるVDT症候群に発展する場合もあります。

 
ドライアイと視力
一般的なドライアイは、失明につながるような重篤な病気ではありません。そのため、軽く思われがちですが、悪化させるとVDT症候群のように、慢性の頭痛や肩こり、全身の倦怠感、はてはうつ症状に至るような場合もあります。
また、視力検査では1.5や1.0であっても、ドライアイでは実際に見えている視力が低下している場合があります。これを「実用視力の低下」といいます。とくに車の運転中などは危険が伴います。車の運転をされる人で、ドライアイのある人は注意が必要です。正しいドライアイのケアで、クリアな視力を保ちましょう。 

原因
原因は複合的と考えられています。現代人は涙が減少傾向にある、という報告もありますが、この原因は不明です。それに加えて、現代社会は涙を乾かす要因に満ちていることがあげられます。パソコンやテレビ、ケータイ画面などのモニターを見続ける生活により、まばたきが減少して涙が乾きやすくなります。室内の冷暖房などの空調により室内が乾燥しがち。また、涙の分泌は副交感神経(リラックスしたとき)に支配されており、交感神経優位(緊張時)には減少することが考えられます。ストレスの多い現代社会、さらに夜型の生活など、ライフスタイルの関与も指摘されています。加齢とともに涙量の減少や、安定性の低下なども報告されています。 近年、コンタクトレンズユーザーが増えていますが、コンタクトレンズの長時間・長期使用により、目の表面が荒れるなど涙の安定性が損なわれ、ドライアイを発症する例や、レーシックなどの目の手術後に、ドライアイを発症する例も報告されています。 また、シェーグレン症候群などの自己免疫疾患や、スティーブンスジョンソン症候群などの病気により涙がほとんどでない重篤なドライアイもあります。 

治療
症状を感じたら、眼科で検査を受けましょう。涙の分泌量を調べるシルマーテストや、涙の安定性、目の表面の角膜や結膜の状態をみます。保湿のための点眼(人工涙液やヒアルロン酸入りの点眼など)や涙液の安定性を増す点眼のほかに、物理的に涙液の排水を少なくする涙道閉塞の方法があります。これは、涙の排出口となる目頭の涙点を小さなシリコーン製の栓でふさいだり涙点の奥にある涙小管にコラーゲンをつめることで、目の表面に自分の涙を貯める治療です。人工の目薬には涙の中にある生物にしか作ることが出来ない成分は含まれませんので、自分の涙を貯めることは涙が減少しているタイプのドライアイには有効です。涙の安定性がわるい例でも、涙点プラグで一時的に涙を貯めることで安定性が改善されることもあります。
また重篤なドライアイでは、自分の血液を採取してその一部である血清を希釈して点眼する「血清点眼」の治療が行われる場合があります。これは涙の中にある生物にしか作ることが出来ない成分が含まれるため有鈎となります。
また、目を遠赤外線などであたためる「目の温熱療法」や、涙の蒸発を防ぐ保護メガネの使用も有効な場合があります。これらの治療で症状の多くは改善することが可能です。 

ドライアイと洗眼
涙には、目の表面に潤いを与えるほかに、酸素や栄養分を与えたり、老廃物や外界からの不要なゴミや侵入物を洗い流す役目があります。涙が足らないと、この洗い流す力も低下します。それにより、アレルギーや炎症が起きやすくなります。
市販の洗浄液には爽快感を与える成分の他、防腐剤が多く含まれています。また、カップ型で洗浄すると、目の周りの汚れを逆に目に入れてしまうことになります。
なので、ドライアイの人は、眼科で処方されるような防腐剤が少ないまたは入ってない目薬を用いて、洗い流すように洗眼することが適切です。

1 上を向いて、清潔な手で上下のまぶたを開く。
2 上から目薬を多めに点眼する。
3 目を左右、上下に動かして、すべての箇所が点眼液で洗い流されるようにする。
4 ティッシュなどであふれた液をそっと吸い取る。

朝起きたとき、外出から帰ったとき、掃除をしたあとやほこりっぽい場所にいたあとなどに行うとよいでしょう。

 
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